地域密着と信頼の重み 〜ある不動産会社の倒産から思うこと〜
久しぶりに四日市を訪れた際、ふと気になっていた不動産屋の店舗前を通りがかりました。
しかし、そこにあったのはもぬけの殻となった店舗。気になって調べてみると、すでに昨年、破産手続きが開始され倒産していました。
その不動産屋は、開店当初からいわゆる「パワービルダー」と呼ばれる建売業者にべったりとくっつき、新築建売の仲介営業をメインに展開していました。
当時から懸念していましたが、やはり恐れていた通りの結末となってしまったようです。
というのも、こうした低価格帯の建売住宅の販売は、極端な言い方かもしれませんが「誰でも売れる」商材です。価格の安さが最大の武器となるため、昨日入社したばかりの新人営業マンであっても、タイミングと当たりさえ良ければ、すぐに購入客を見つけることができてしまいます。
しかし、そのような「売りやすさ」に依存した営業ばかりを繰り返していると、不動産業者として最も重要であるはずの「実力」が一向に育ちません。そして何より致命的だったのは、そこに「地域密着性」が全く欠けていたことです。
不動産の仕事は、単に物件を右から左へ流すことではありません。地域に根ざし、地道に活動を続けることで得られる「地域からの信頼」こそが、事業の最大の基盤となります。目先の契約ばかりを追いかけ、地域との繋がりを疎かにした結果、顧客からの本当の信用を得ることができなかったのでしょう。
基盤となる信頼がなければ、少しの市況の変化で資金繰りは厳しくなります。業績が傾けば従業員の心も離れ、やがて倒産へと追い込まれていく。これまでにも多くの不動産会社が辿ってきた典型的な衰退のプロセスであり、今回の会社もまさに同じ轍を踏んで倒産に至ったのだと思います。
長くこの業界に身を置く者として、小手先の営業ではなく、何よりもまず地域に寄り添い、信頼を積み重ねていく地道な努力がいかに不可欠であるかを、改めて痛感させられる出来事でした。


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