毎日届く「土地買います」のDMと、黒く覆われていく里山を眺めて
「太陽光・蓄電池用の土地を探しています」 「青地でも白地でも、条件が合えば即買取します」 不動産屋を営んでいると、毎日のようにこの手の案内や営業メールが舞い込みます。坪数百円から数千円、手入れの行き届かなくなった山林や農地の買い取り価格が、まるで工業製品の部品表のように並んでいます。 条件を見れば、造成費がかかる木が生えた土地は敬遠され、手放したい地主の足元を見るような価格設定。一方で「蓄電池用地なら高額で」と、耳目を引く文句が躍る。 売りたい地主と、土地を仕入れて転売・開発したい事業者。 ただ土地を右から左へ流して仲介手数料を稼ぐだけの不動産屋なら、「遊休地の有効活用です」「買い手が見つかりましたよ」と、喜んで間に入ることでしょう。 ですが、地域に根を下ろし、日々の暮らしの場としてこの土地と向き合っている不動産屋としては、どうしても強い違和感と危機感を拭えません。 車を走らせれば、ここ数年で町の風景はすっかり変わってしまいました。 かつては四季折々の表情を見せていた緑豊かな山裾や農地が、木々を切り倒され、無機質な黒いパネルとフェンスで埋め尽くされています。 そこでふと立ち止まり、考えざるを得ないのです。 「この太陽光や蓄電池は、一体誰のためにあるのか?」と。 これほど自然を削り、メガソーラーや蓄電池設備を増やしたところで、私たち地元住民の電気代が安くなるわけではありません。災害時に地域を支える非常用電源として機能する仕組みがどれだけ整えられているでしょうか。 それどころか、毎月の電気料金明細を見れば「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」の負担はじわじわと増え続けています。 美しい景観を失い、豪雨のたびに土砂崩れや流出事故の不安に怯え、その上でお金まで負担させられている。恩恵を受けるのは、一時の売買益を手にする開発業者や遠く離れた投資家ばかりではないでしょうか。 「使っていない土地なんだから、お金になるならいいじゃないか」 そう思う気持ちも分からなくはありません。管理に困り、固定資産税の負担に悩む地主さんの苦悩も、仕事柄よく知っています。 しかし、一度木を伐採し、表土を削り、架台を組んでしまった土地は、そう簡単には元の豊かな自然には戻りません。20年後、発電事業が終わったあとの設備は誰が責任を持って撤去するのか。事業者が倒産したら、放置された...