不動産のはなし⑪【ぶっちゃけ不動産屋ってどう?】
【ぶっちゃけ不動産屋ってどう?】
「物価高騰で儲かってるんでしょ?」に、正直にお答えします。
地域のイベントなどで初めてお会いする方々に、私が不動産屋であることをお伝えすると、最近よくこんな風に言われます。
「昨今の物価高騰で土地の値段も上がってるんでしょ?ようけ儲けてるんじゃないの?」
なるほど、確かにテレビやネットのニュースを見ていると、不動産価格が過去最高値を更新!なんて景気の良い話が飛び交っていますよね。物価が上がれば、当然、土地や建物の値段も上がる。そう思われるのも無理はありません。
しかし、この場を借りて正直にお伝えさせてください。
そのお話、残念ながらほとんどが首都圏や一部の大都市での出来事なんです。
地方不動産のリアル。聞こえてくる「好景気」とのギャップ
ニュースで報道される「不動産価格の上昇」。その主な要因は、都心部への人口集中、大規模な再開発、そして海外からの旺盛な投資需要などです。需要が供給を大きく上回るため、価格がぐんぐん上がっていく。まさに経済の原則です。
では、私たちが暮らすこの地域ではどうでしょうか?
肌感覚として、土地の価格はほぼ横ばいです。
もちろん、建築資材や人件費などのコストは、物価高騰のあおりを受けて確実に上昇しています。つまり、家を建てるための費用は高くなっている。それなのに、土地そのものの価格は上がっていない。これが、多くの地方不動産が直面している現実です。
「もしかしたら、少し遅れて価格が上昇してくるかも?」
そんな淡い期待も、正直なところ、地域の人口動態や市場の特性を考えると、なかなか難しいのではないかと感じています。
不動産価格を決めるのは「需要」と「供給」のバランス
なぜ、このような状況が生まれるのでしょうか?
私がいつも原点に立ち返る考え方、それは**「不動産の価格は、需要と供給のバランスで決まる」**というシンプルな事実です。
需要:その土地や家を「欲しい」と思う人がどれだけいるか。
供給:売りに出されている土地や家がどれだけあるか。
地方では、残念ながら人口減少や高齢化といった課題があり、不動産を「欲しい」という需要が爆発的に増える状況にはありません。一方で、空き家や利用されていない土地は少なくなく、供給は比較的安定しています。
つまり、「欲しい人」が限られているのに、「売られている物件」はたくさんある。だから、なかなか価格が上がりにくいのです。
地域の不動産屋として思うこと
「じゃあ、不動産屋は大変だね」と思われるかもしれません。確かに、経費は上がるのに売上は変わらない、という厳しい側面はあります。
しかし、私たちはこの地域に根差し、地域の皆さんの大切な資産である不動産を扱わせていただいています。目先の利益だけを追いかけるのではなく、お客様一人ひとりの「売りたい」「買いたい」「借りたい」という想いに、誠実に向き合っていく。それが、地域の不動産屋としての一番大切な役割だと考えています。
価格が横ばいということは、見方を変えれば**「安定している」**とも言えます。都心のように、相場が乱高下して一喜一憂するのではなく、地に足を着けて、じっくりとご自身のライフプランに合った不動産を探せるチャンスでもあります。
もし、不動産のことで気になること、不安なことがあれば、ぜひ私、地元の不動産屋に声をかけてください。テレビのニュースだけでは見えてこない、この地域の「今」を、正直にお伝えします。


コメント
コメントを投稿