不動産のはなし⑫【流れ作業の不動産屋にはなりたくない】
流れ作業の不動産屋にはなりたくない。
契約を急がない、本当の顧客目線とは。
「この物件、借りたいです!」「購入します!」
お客様から、この上なく嬉しいお言葉をいただいた時、あなたならどうしますか?
特に従業員を多く抱える不動産会社では、この言葉を合図に、まるでベルトコンベアに乗せるかのように、契約手続きが猛スピードで進んでいくことがあります。
なぜなのでしょうか。
それは、会社を維持するための「経費」という現実があるからです。従業員が多ければ多いほど、人件費をはじめとする経費は膨らみます。その経費を賄うためには、常に一定以上の売上を確保し続けなければなりません。一件でも多く、一日でも早く契約を成立させ、お金を回収する必要があるのです。
しかし、本当にそれで良いのでしょうか。
お客様の人生に寄り添うということ
私たちのような小さな不動産屋は、お客様から「借りたい」「買いたい」という意思表示をいただいても、すぐに契約へと進めることはしません。
まず、一呼吸置くことをお勧めしています。
「クールダウン」とも言えるこの時間は、お客様にとって非常に重要です。
「本当にこの物件で良いのか?」
「他に選択肢はなかったか?」
「将来設計に合っているか?」
舞い上がった気持ちを一度落ち着かせ、冷静な頭で最終判断をしていただくための、大切な時間だと考えています。
車を買う時でさえ、多くの人が悩み、何度も試乗し、勇気を出して決断します。
ましてや、不動産です。
賃貸であれば、日々の暮らしの拠点となり、購入であれば、一生に一度の買い物になるかもしれない、人生を左右する大きな決断です。その決断を、不動産屋の都合で急がせてしまって良いはずがありません。
流れ作業の先にあるもの
流れ作業のような対応は、一見効率的に見えるかもしれません。しかし、その先にあるのは、お客様の「本当にこれで良かったのだろうか」という小さな後悔や不安の種です。
私たちは、目先の利益や効率を追い求めるのではなく、お客様一人ひとりの人生に寄り添い、心から納得のいく決断をしていただけるよう、最大限のサポートをすることこそが、不動産屋の本来あるべき姿だと信じています。
契約書にサインをいただくことだけが、私たちの仕事ではありません。お客様がその場所で、幸せな未来を築いていく、その第一歩を、心からの笑顔で踏み出せるようお手伝いをすること。
それこそが、私たちの最大の喜びであり、使命なのです。
もし、あなたが今、不動産探しで少しでも迷いや不安を感じているなら、一度立ち止まってみてください。そして、あなたの気持ちに本当に寄り添ってくれる不動産屋を、ぜひ見つけてください。
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