不動産のはなし① 【家づくりで後悔しないために】
土地探しをハウスメーカーに丸投げする前に知ってほしい、本当の話
マイホームは、多くの人にとって一生に一度の大きな買い物。夢のマイホーム実現に向けて、住宅展示場を巡り、様々なハウスメーカーの担当者と話をする時間は、期待に胸が膨らむひとときでしょう。
しかし、そのプロセスで非常に重要な「土地探し」を、安易にハウスメーカーに任せきりにしていないでしょうか?
「提携している不動産屋さんを紹介しますよ」「良い土地が出たらすぐにご連絡しますね」
ハウスメーカーの営業担当者からのそんな親切な言葉に、ついつい安心して全てを委ねてしまいがちです。しかし、そこに思わぬ落とし穴が潜んでいる可能性があることを、ご存知でしょうか。
「餅は餅屋」の原則。土地探しのプロは不動産屋
昔から「餅は餅屋」ということわざがあるように、物事にはそれぞれ専門家がいます。家づくりのプロがハウスメーカーであるならば、**土地探しのプロは、まぎれもなく「不動産屋」**です。
不動産屋は、その土地が持つ歴史的背景、周辺環境の変化、法的な規制、売主様との交渉の進め方など、土地売買に関する専門的な知識と経験を豊富に持っています。地元の不動産屋であれば、インターネットに載っていないような、地域に根差した貴重な情報を持っていることも少なくありません。
ハウスメーカーの「親切」に隠された思惑とは?
一方で、ハウスメーカーの営業担当者の第一の目的は、自社の家を建ててもらうことです。彼らが土地探しに熱心なのは、もちろんお客様のためという側面もありますが、ビジネス的な視点も忘れてはなりません。
残念ながら、一部の営業担当者の中には、土地や住宅ローンでお客様を囲い込み、契約の主導権を握ろうとするケースが見受けられます。
「この土地で建てるなら、うちのこのプランしかありません」
「提携ローンなら審査が通りやすいですよ」
このような提案を「親切」だと感じてしまうかもしれません。しかし、一度立ち止まって考えてみてください。その結果、相場より割高な土地を契約してしまったり、不要なオプションが付いた建物を勧められたり、金利の高い提携ローンや割高な火災保険に知らず知らずのうちに加入してしまっている、ということが起こりうるのです。
後悔しないために、あなた自身ができること
では、どうすれば良いのでしょうか。答えはシンプルです。ハウスメーカー任せにせず、あなた自身の足で不動産屋を訪ね、自分の目で見て、耳で聞いて判断することです。
堅実に家づくりを進めている方々は、ハウスメーカーと話を進める前に、あるいは同時並行で、自ら不動産屋に足を運びます。そして、検討している土地について、以下のような専門的な視点から情報を集めています。
土地の歴史: 昔は何があった場所なのか(田んぼ、沼地、工場など)。地盤の強さに関わる重要な情報です。
周辺環境: 近隣住民の様子、地域の慣習、将来的な開発計画など。
法的な規制: 用途地域、建ぺい率、容積率など、建てられる家に直接影響する情報。
インフラの状況: 上下水道、ガス管の引き込み状況など。
これらの情報は、ハウスメーカーの営業担当者では即答できない、あるいは十分に把握していない可能性がある専門的な内容です。
まとめ:主体的に動くことが、理想の家づくりの第一歩
もちろん、ハウスメーカーが紹介してくれる土地が全て悪いわけではありません。素晴らしい土地と巡り会えるケースもたくさんあります。ここでお伝えしたいのは、「ハウスメーカー任せが絶対にダメ」ということではなく、**「全てを鵜呑みにせず、自分たちで情報を確かめるひと手間が、後悔しない家づくりに繋がる」**ということです。
ハウスメーカーを「家づくりのパートナー」とするならば、不動産屋は「土地探しのパートナー」。両方の専門家から話を聞き、セカンドオピニオンを得るような感覚で、冷静に情報を比較検討することが大切です。
大きな買い物だからこそ、人任せにせず、主体的に動く。その小さな一歩が、あなたとご家族の未来の暮らしを、より豊かで確かなものにしてくれるはずです。
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