不動産のはなし③【不動産売却の落とし穴】


【不動産売却の落とし穴】

「高く売れます」に要注意!仲介で相見積もりが無意味な理由

「大切な不動産、どうせ売るなら1円でも高く売りたい!」

不動産の売却を考えたとき、誰もがそう願うはずです。そして、そのために複数の不動産会社から査定を取り、一番高い査定額を提示した会社に依頼する「相見積もり」が、ごく当たり前の選択肢だと考えられています。

しかし、本当にそうでしょうか?実は、その「常識」にこそ、売却失敗につながる大きな落とし穴が潜んでいるのです。

「お宅より300万円高く売れます」その言葉、信じますか?

先日、あるお客様からこんな話を聞きました。

「他の不動産会社にも査定を頼んだら、市外の業者が『今頼んでいるところより300万円は高く、確実に売れる』と言ってきたんです。」

あなたなら、この言葉をどう受け止めますか?多くの方が「それはすごい!そっちに頼もう!」と心を動かされてしまうかもしれません。

しかし、私はあえてこうお伝えします。

「でしたら、その不動産屋さんにお願いしてみてはいかがでしょうか」と。

数ヶ月後、あるいは数年後、どうなっているか。残念ながら、その物件は売れずに残ってしまい、結局「やっぱりお願いしたい」と、私たちの元に戻ってこられるケースが後を絶たないのです。

なぜ高すぎる査定額には裏があるのか?

そもそも、不動産の「買取」であれば、一番高い価格を提示した会社に売るのが正解です。それは、その会社自身が買い手となるため、提示額がそのまま売却額になるからです。

しかし、「仲介」は違います。不動産会社はあくまで売主様と買主様の間を取り持つ仲人役。査定額は「このくらいの価格で売れるでしょう」という見込み額であり、売却を保証する金額ではありません。

では、なぜ地域の実情を無視したような高額査定が提示されるのでしょうか?

答えはシンプルです。**「媒介契約(売却の依頼)を取りたいから」**です。

まずは高い査定額で売主様の気を引き、契約を結んでしまう。しかし、その価格では地域の相場からかけ離れているため、当然買い手は見つかりません。そして、「反響がないので値下げしましょう」と、徐々に価格を下げていく。これが、高値査定のよくある手口なのです。

結果として、売却までに無駄な時間がかかり、新鮮味も失われ、最終的には相場より安い価格で手放さざるを得ないという最悪の事態にもなりかねません。

不動産売却成功のカギは「地域密着」にあり

では、どうすれば不動産売却を成功に導けるのでしょうか。

答えは、**「その地域に精通した不動産会社に任せること」**です。

地域の不動産会社がなぜ強いのか、その理由は明確です。

  1. 査定額の根拠が違う

    机上のデータだけで算出するのではなく、長年その地域で培ってきた数多くの取引実績や、地域特有の事情(人気の学区、近隣の商業施設、交通の便、将来の開発計画など)をすべて考慮した、**「本当に売れる価格」**を熟知しています。その査定額には、揺るぎない裏付けと自信があります。

  2. 独自の販売網を持っている

    「このエリアで家を探している」という、まだインターネットには出てこないような見込み顧客の情報を抱えています。チラシやウェブサイトでの広告活動はもちろん、そうした独自のネットワークを活かして、スピーディーな売却を実現できる可能性が高いのです。

  3. 責任感と信頼性が違う

    地元での評判を何よりも大切にしています。無責任な高値査定や強引な営業活動は、自社の信頼を損なうだけです。お客様一人ひとりと真摯に向き合い、売却まで責任を持ってサポートします。

まとめ:大切な資産だからこそ、信頼できるパートナー選びを

不動産売却は、人生における大きな決断です。目先の査定額の高さに惑わされることなく、本当に信頼できるパートナーを選ぶことが、成功への一番の近道です。

もしあなたが不動産の売却を考えているなら、まずは地元の不動産会社に相談してみてください。そこには、インターネットの情報だけでは得られない、地域に根差した確かな知識と経験があります。あなたの不安に寄り添い、大切な資産を最も良い形で次の買い主様へ引き継ぐお手伝いをしてくれるはずです。

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