不動産のはなし⑦【太陽光発電、本当に「地域のため」になっていますか?】


太陽光発電、本当に「地域のため」になっていますか?

 仲介業者が語るその光と影

再生可能エネルギーの主役として、一時期大きなブームとなった太陽光発電。今もなお、日本のいたるところで、真新しいソーラーパネルが設置され続けている光景を目にします。

私たちもかつて、休耕田や耕作放棄地を所有されるお客様と太陽光発電事業者とを繋ぐ仲介の仕事に携わっていました。土地の有効活用とクリーンなエネルギー。その理想的な側面に光を感じ、事業の一助となればと考えていた時期です。

しかし、現在、私たちは太陽光発電事業とのやり取りを、原則としてお断りさせていただいています。それは、数々の現場を見てきたからこその、ある種の懸念と疑問からでした。

私たちが太陽光発電事業と距離を置く理由

なぜ、あれほど期待されていた事業に、私たちは慎重な姿勢をとるようになったのか。理由は大きく分けて3つあります。

  1. 事業者の対応への疑問: すべての事業者がそうではありませんが、一部の事業者とのやり取りの中で、地域への配慮や長期的な視点に欠ける対応に直面することがありました。

  2. 環境破壊への懸念: 山を切り拓き、パネルを敷き詰める。その結果、土砂災害のリスクが高まったり、地域の生態系に影響を与えたりするのではないかという懸念を拭えませんでした。

  3. 景観への影響: 美しい田園風景や、先人たちが守ってきた景観が、一面のソーラーパネルに覆われてしまうことへの違和感です。それは本当に地域が望む姿なのだろうか、と。

もちろん、太陽光発電そのものが悪いわけではありません。だからこそ、私たちは事業に関わるのであれば、独自の「最適用地」の基準を設けています。

当社が考える「太陽光発電の最適用地」とは

  • 環境に害を及ぼさない場所であること。

  • 地域の美しい景観を損なわないこと。

  • 何よりも、近隣の方々の100%の理解が得られること。

この3つの条件が揃わない限り、たとえ経済的なメリットがあったとしても、長期的に見て地域のためになるとは到底思えません。

今なお続く需要と、新たな課題

驚くことに、最近でも太陽光発電に関する問い合わせは後を絶ちません。特に、住宅地にある200坪以上の土地を「太陽光発電や蓄電池の用地として探している」という声が多く、その需要の根強さを感じます。

しかし、その裏では看過できない問題も起きています。先日あった事例では、1000万円で販売している土地に対して、「200万円で購入したい」という、あまりにも常識を欠いた交渉がありました。

収益性を追求するあまり、土地の価値や、そこに住む人々の想いを踏みにじるような行為は、決して許されるものではありません。

最後に問いたいこと

私たちは、太陽光発電という技術そのものを否定するつもりは毛頭ありません。しかし、立ち止まって考える必要があります。

そのソーラーパネルは、本当に必要なのか?

そして何より、地域のためになっているのか?

目先の利益や「クリーン」という言葉の響きだけで物事を進めるのではなく、10年後、50年後の地域の姿を想像する視点が、今こそ求められているのではないでしょうか。

これは、地域に根差す一企業としての、私たちの率直な考えです。皆様は、どのようにお考えになりますか?

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