不動産のはなし⑨【不動産屋の独り言】
【不動産屋の独り言】
「地域密着」って、口先だけになっていませんか?
街のいたるところで目にする「地域密着」という言葉。多くの不動産会社が、まるで合言葉のようにこの言葉を掲げています。しかし、その言葉の本当の意味を、私たちはどれだけ理解し、実践できているのでしょうか。
実は私自身、以前は大手フランチャイズの不動産会社に勤務していた事もありました。そこでも「地域密着」は高らかに謳われていましたが、日々の業務の中で「本当にこれが地域密着なのだろうか?」と、拭いきれない疑問をずっと抱えていました。
今日は、そんな私が考える「本物の地域密着」について、少しだけ語らせてください。
「うわべだけ」の地域密着では意味がない
「この地域の物件ならお任せください!」
そう言っている不動産屋さんが、その地域の歴史や文化、そこに住む人々の顔や暮らしぶりをどれだけ知っているでしょうか。担当エリアの地図を眺め、物件情報をデータとして把握しているだけでは、それは「地域密着」ではなく、単なる「エリア担当」に過ぎません。
お客様が不動産に求めるものは、単なる「建物」や「土地」ではありません。その先にある「安心できる暮らし」や「心豊かな毎日」です。それを提供するためには、うわべだけの情報ではなく、地域に深く根差した知識と経験、そして何よりも「地域への愛情」が不可欠だと、私は信じています。
私が誓う「5つの地域密着」
私の会社は、名前を聞けば「ああ、あの地域専門の不動産屋さんね」と分かっていただけるような屋号を掲げています。それは、私たちが本気で地域密着を追求する覚悟の表れです。私たちが日々実践し、守り続けている「5つの約束」をご紹介します。
1. とにかく、扱う地域にこだわる
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、これが全ての土台です。自分の知らない、肌感覚のない地域の物件売買のご依頼は、よほどの理由がない限りお受けしません。なぜなら、その地域の本当の魅力も、注意すべき点も、お客様に責任をもってお伝えすることができないからです。中途半端な知識で大切な資産を扱うことは、お客様に対してあまりにも無責任だと考えています。
2. 地域に、とことん奉仕する
不動産の仕事を通じて地域に貢献するのは当然のこと。それだけでなく、自分の持てる特技や能力を、地域活性化のために惜しみなく注ぎ込む。それが私たちのスタンスです。例えば、イベントの企画や運営を手伝ったり、情報発信のノウハウを共有したり。不動産屋という枠を超え、一人の地域住民として、この街を盛り上げる一員でありたいのです。
3. 地域を、とことん知る
「あそこの〇〇さんは、野菜の作り名人!」「〇〇さんに相談すれば、美味しいお米が手に入る」「公園の向かいに住んでいる△△さんは、実はプロ級の歌声の持ち主」――。
私は、そんな生きた情報を大切にしています。どこにどんな人が住んでいて、どんなお店が輝いているのか。そうした細やかな情報を知っているからこそ、お客様一人ひとりのライフスタイルに寄り添った、血の通ったご提案ができるのです。
4. 自治会活動やボランティアに、本気で参加する
地域の自治会活動やボランティアには、積極的に参加します。しかし、そこで「不動産屋です!」とアピールすることはしません。あくまで一人の住民として、汗を流し、地域のお役に立つことだけを考えます。そうした地道な活動を通じて生まれる信頼関係こそが、何物にも代えがたい財産になると信じています。
5. どんどん、協賛する
子ども会のお祭り、地域の小さなイベント。規模の大小にかかわらず、その趣旨に心から賛同できれば、積極的に協賛させていただきます。それは、私の利益のためではありません。この街の文化や活気を未来につないでいくための、ささやかな投資です。イベントが成功し、参加者の笑顔が溢れること。それが私たちにとって一番の喜びです。
「暮らし」の案内人であるために
なぜ、ここまでこだわるのか。
それは、不動産屋の仕事は、その地域の「暮らし」そのものをお預かりする仕事だと考えているからです。
地域のうわべしか知らない不動産屋に、あなたの、そしてあなたの家族の未来を託せますか?
私は、単なる物件の仲介人ではありません。この街の魅力を誰よりも深く知り、お客様を温かく迎え入れる「暮らしの案内人」でありたい。そして、この街に住む全ての人が「この街に住んでよかった」と心から思える未来を創るお手伝いをしたい。
それが、私たちが掲げる「地域密着」の本当の意味であり、私たちの誇りです。もしあなたの街にも「地域密着」を掲げる不動産屋さんがあるなら、ぜひ、その「本気度」を見極めてみてください。その街での暮らしが、きっとより豊かなものになるはずです。
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